新しい法律がせこうされる 「施工」「施行」正しい漢字はどっち?

「せこう・しこう」は「施工」「施行」と書きますが、それぞれの意味は全く違います。そこで、論文・小論文ではそれぞれ上手に使えるように意味を理解しておきましょう。ここでは「施工」「施行」のそれぞれの意味の違いや例文について解説していきます。

「施工」と「施行」の違い

施工(せこう・しこう)
意味:工事を実際に行うこと。
「施工」は土建用語で、工事や建築を実際に行うことを意味します。本来は「しこう」と読みますが、慣習的に「施行」と区別するため「せこう」と読むことが多く、建築現場でも「せこう」と読んでいるところから、社会的にも「せこう」の方が広く知られています。ちなみにNHKでも「せこう」の読みを採用しています。
施行(せこう・しこう)
意味:法令の効果を発生させること。
「施行」はすでに成立している法令などの効力を発生させるという意味の他に実際に行うという意味もあります。ですが、後者の意味はあまり使われません。法律は公布してから20日後に施行され、その時初めて効力が発生するため、公布と施行は切り離せない関係にあります。「施工」は「施行」と区別するために「しこう」と読み、一般的な辞書の主見出し語も「しこう」となっています。ですが、同じ法律用語の執行(しっこう)と区別するために「せこう」と読むことも多く、現在はどちらで読んでもかまわないことになっています。また、他の読み方に「せぎょう」や「しぎょう」があり、「せぎょう」は仏教用語で布施を行う修行を意味し、「しぎょう」主に中世の日本で命令や判決を実行させることを意味します。

新しい法律がせこうされるは施行が正しい

「新しい法律がせこうされる」は新しい法律の法令の効果を発生させることをいうので、ここでは「施行」が正解です。

「施工」の例文

例文1:このビルの施工主は誰もが知っている大手企業だ。

「せこう主」は建築を請け負った建築会社のことを言うので、ここでは「施工」を使います。

例文2:今日の午後3時から店先の道路の施工が始まるので、それまでにお店を閉めなくてはならない。

「道路のせこう」は道路工事を実際に行うことを言うので、ここでは「施工」を使います。

「施行」の例文

例文1:法律は国会が定め、内閣が施行します。

「内閣がせこう」は内閣が法令の効果を発生させることを言うので、ここでは「施行」を使います。

例文2:知らないうちに新しい法律が施行された。

「法律のせこう」は法律の法令の効果を発生させることを言うので、ここでは「施行」を使います。

論文・小論文で「施工」「施行」を使い分ける視点

実行する意味の「せこう・しこう」は「施工」「施行」がありますが、両者には明らかな違いがあります。論文・小論文で書く時には、「施工」は工事を施す、「施行」は法律を実施して行き渡らせると、それぞれの漢字に注目して覚えておきましょう。