「たいせい」は「態勢」「体勢」「大勢」「体制」などの漢字があります。ですが、それぞれ意味が違うので論文・小論文では使い分けて使えるようにしておきましょう。ここでは、「態勢」「体勢」「大勢」「体制」のそれぞれの意味の違いや例文について解説していきます。
「態勢」「体勢」「大勢」「体制」の違い
態勢(たいせい)
意味:(一時的・部分的な)身構え・対応。
「態勢」は物事に対処する前もっての身構えや態度のことや何らかの事態に対応するための準備が整っている様子を言います。「体制」は長期的な仕組みに使われますが、「態勢」は一時的な準備や反応について使われます。
体勢(たいせい)
意味:体の構え・姿勢。
「体勢」はフォームのことで、何かをしようとするときの、身体の姿勢を言います。
大勢(たいせい)
意味:おおよその形勢。
「大勢」は物事の大まかな流れの状況や成り行きなど、ものごとの一般的な傾向のことを言います。そのほかに世の中の形勢、大きな権勢という意味もあります。「大勢」は「おおぜい」とも読め、その場合は「人数が多いこと」という意味になります。
体制(たいせい)
意味:(持続的・統一的な)仕組み・組織。
「体制」はある基本原理や方針によって秩序づけられている国家・社会・組織の仕組みで、システムのことを指します。また「体勢に屈する」などその時代の社会を支配する権力という意味にも使われます。期間や程度が「体勢」は一時的な身構えですが、「体制」は長期的な仕組みに使われます。
経営たいせいを見直すは体制が正しい
「経営たいせい」は経営の持続的な仕組みのことをなので、ここでは「体制」が正解です。
「態勢」の例文
例文1:敵機襲来に備えて臨戦態勢を整えて待機せよ。
「臨戦たいせい」は敵機襲来に備えての一時的な対応のことなので、ここでは「態勢」を使います。
例文2:オリンピックには世界中の強豪が集まるので、日本のアスリートも万全の態勢で臨まなくてはならない。
「万全のたいせい」はオリンピックに備えての一時的な対応をのことなので、ここでは「態勢」を使います。
「体勢」の例文
例文1:スポーツ選手の不利な体勢からの見事な逆転は見る者を勇気づける。
「不利なたいせい」は無理なフォームのことなので、ここでは「体勢」を使います。
例文2:スキーは得意だったが、人を避けようとしたら体勢を崩して骨折してしまった。
「たいせいを崩す」はフォームが崩れることなので、ここでは「体勢」を使います。
「大勢」の例文
例文1:PTAの輪番制には否定的な意見が大勢を占める。
「たいせいを占める」は一般的な傾向を占めるということなので、ここでは「大勢」を使います。
例文2:コロナ禍の中感染が怖いので出勤を控えたいが、取引先などリモートに移行できていない会社も多いため、社会の大勢に従うしかない。
「社会のたいせい」は社会の一般的な傾向のことなので、ここでは「大勢」を使います。
「体制」の例文
例文1:子供たちの学びを止めないためにも、学校も新しい生活様式に合わせて体制を整えなくてはならない。
「たいせいを整える」は長期的に整えることなので、ここでは「体制」を使います。ちなみに「態勢を整える」とすると、一時的に整えるということを意味します。
例文2:反体制派はいつの時代も必ず一定数いる。
「反たいせい派」は仕組みに反対する人たちということなので、ここでは「体制」を使います。
論文・小論文で「態勢」「体勢」「大勢」「体制」を使い分ける視点
「たいせい」という漢字はいくつもありますが、それぞれで違いがあるので、論文・小論文を書く時には気を付けて使うようにしましょう。「態勢」は一時的な対応、「体勢」はフォーム、「大勢」は一般的な傾向、「体制」は長期的な仕組みと区別して覚えておきましょう。