機転がきく 「効く」「利く」のどっちが正しい?

「きく」という漢字はいくつかありますが、それぞれ使い方が違うので区別しなくてはいけません。ここでは、「効く」「利く」のそれぞれの意味の違いや例文について解説していきます。

「効く」と「利く」の違い

効く(きく)
意味:効果や働きがあらわれること。
「効果」「効能」というように、何かに働きかけて、期待通りの効果を発揮させるときに使います。そのため、他動詞として使います。
利く(きく)
意味:機能を十分に発揮すること。
「利く」は、機能を十分に発揮することを意味しますが、その他にも可能である、役立つなどさまざまな意味でも用いられます。また、限定的ですが、「口利き」や「口を利く」など「世話をする」「言葉を発する」という意味でも使われます。「便利」「利益」「利用」というニュアンスがあります。「利く」は自動詞でも他動詞でも、どちらの場合でも使うことができます。

機転がきくは「利く」が正しい

「機転がきく」は「利く」を使います。機転というのは薬の効能の様にじわーっと効くものではなく、その瞬間に発揮されるものなので機能的であり「利く」となります。

「効く」の例文

例文1:薬が効いたおかげですっかり痛みがとれた。

「薬がきく」は、薬の効果があらわれたということで、結果痛みをとるという期待通りの結果が得られたところから「効く」を使います。

例文2:この漫画は風刺が効いていて、思わずくすっと笑ってしまった。

「風刺がきく」とは遠回しに批判することです。その働きがじわっと感じられて笑ったという効果が得られたことを示すので「効く」を使います。

「利く」の例文

例文1:彼は儲け話に鼻が利くので、いつもいろんな仕事を抱えている。

「鼻がきく」は特定のことに敏感で、それを見つけ出すことが上手なことを言うため、機能を十分に発揮するという意味の「利く」を使います。

例文2:この問題は応用が利けばかなり多くの物事に適応できるはずだ。

「応用がきく」は応用する力が十分に発揮できることを意味するので、「利く」を使います。

例文2:この男は融通が利く。

「融通がきく」は即座に機転を利かせて対応できる様なので「利く」を使います。

論文・小論文で「効く」と「利く」を使い分ける視点

「利く」の意味は広いため、なかなか覚えておくのも大変です。そこで、論文・小論文では「効く」は「効果」に使い、「利く」は「機能」に使うととらえておくとわかりやすいでしょう。ですが、似たような意味のため、どちらを使うべきか迷うケースもあります。そんな効果と機能がはっきりしないときは、どちらを使っても間違いではありません。論文・小論文で書く時は、誤用を防ぐためひらがなで書くのも得策です。