人事いどう 「移動」「異動」のどっちが正しい?

「いどう」は「移動」と「異動」という漢字があります。どういう場合にどちらを使ったらいいのでしょう?それぞれ違いがあるため、区別して使うようにしましょう。ここでは、「移動」「異動」のそれぞれの意味の違いや例文について解説していきます。

「移動」と「異動」の違い

移動(いどう)
意味:物理的な動き、位置や場所の変更のこと。
「移動」は人や物が物理的に動き、位置を変えることをいいます。
異動(いどう)
意味:組織における人事的な動きのこと。
「異動」は人員の配置転換に関する用語で、職務・地位が変わることを言います。また、同じ部署内で役職が変わる場合、勤務先や任地が変わる場合にも使います。

人事いどうは異動が正しい

「人事いどう」は組織における人事的な動きのことなので、ここでは「異動」が正解です。

「移動」の例文

例文1:式場で結婚式が終わったら、すぐ宴会会場へ移動してください。

「会場へいどう」は会場へ場所を変更するため、ここでは「移動」を使います。

例文2:低気圧が移動してくるので、午後からは雨のようだ。

「低気圧がいどう」は低気圧が物理的に動くことなので、ここでは「移動」を使います。

「異動」の例文

例文1:住民票の異動届は5月には終わらせなくてはならない。

「住民票のいどう届」は、住民票が自治体の管理ということで、物理的な人の移動ではなく、組織の人事的な手続き上の概念の動きと考えるため、ここでは「異動」を使います。

例文2:栄転なのか、左遷なのか、みんな4月の異動に戦々恐々だ。

「4月の異動」は人事いどうのことなので、ここでは「異動」を使います。ちなみに、移動は栄転の場合にも、左遷の場合にも使えます。

例文3:A社はB社と合併し、合わせてA社の1000万円の資本金が異動した。

「資本金のいどう」は物理的な場所の変更ではなく、登録が変わる、配置が変わるということで、ここでは「異動」を使います。

論文・小論文で「移動」と「異動」を使い分ける視点

「移動」は物理的な動きを指し、「異動」は概念的な動きを指します。状況によって、物理的な動きなのか、概念的な動きなのか迷いそうになるときもありますが、論文・小論文で書くときには、背景に人事や組織などがあるかどうかという点で見分けていきましょう。