いじょうな行動 「異常」「異状」のどっちが正しい?

「異常」と「異状」は似たような意味のため、実際にどちらを使ったらいいのか悩みやすい言葉です。論文・小論文でもよく使われる漢字でもあるので、漢字の違いに着目して区別して使えるようにしておきましょう。ここでは、「異常」「異状」のそれぞれの意味の違いや例文について解説していきます。

「異常」と「異状」の違い

異常(いじょう)
意味:正常でないということ、一般とは異なっているということを表します。
「異常」の対義語は「正常」なので、「異常」は「正常でない」ことが明らかということを表します。異常は形容動詞としても使うことができます。そのため「異常な執念」とか「異常に高い金額」などの表現ができます。
異状(いじょう)
意味:いつもとは異なった状態を表します。
「異状」は異なった状態を表します。状態なので見た目や感覚的に捉えた表面的な様子を言い表します。「異状なし」というかけ声がありますが、いつもとは異なった状態はないという意味が込められています。また、状態を表しているため、形容動詞としては使えません。形容動詞として使う時は「異常」を使います。

いじょうな行動は「異常」が正しい

「いじょうな行動」は「異常な行動」が正解です。この言葉での「いじょう」は、状態ではないため「異状」は使えません。

「異常」の例文

例文1 害虫の異常な発生のせいで、食糧の高騰はさけられなくなった。

「異常な」は形容動詞としての使い方となるので、ここでは「異常」を使います。

例文2 最近の異常気象は温暖化の影響が大きいと考えられている。

異常気象は例年に比べて寒すぎたり暑すぎたり、データと見比べておかしいという意味なので、「異常」を使います。

「異状」の例文

例文1 見たところ格別異状があるわけではなかった。

異状の部分を「異常な状態」に置き換えてみましょう。例えばこの文だと「見たところ格別異常な状態があるわけではなかった。」ということになります。置き換えても意味は通りますよね。

例文2 何らかの異状を感じたときは直ちに病院で診断を受けるといいでしょう。

胃がムカムカしたり、喉がヒリヒリしたりと自覚症状があるという段階はいつもと違う「状態」なので「異状」になります。逆に検査の結果、胃に潰瘍が見つかった場合などは例えば「胃に異常がある」という表現に変わります。

論文・小論文で「異常」「異状」を使い分ける視点

論文、小論文の中で、どちらの漢字を用いたらいいのか迷ったときには、「異常な状態」に置き換えられる場合は「異状」、そうでない場合は「異常」を当てはめてみまよう。ただ「異状」はいつもと同じでない状況、状態に限定して使いますが、「異常」は広く正常でないことに使われるため、「異常」の方が、圧倒的に使用頻度が多くなることも覚えておきましょう。

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