「ぜったい」はよく間違える漢字です。論文・小論文でも多く誤用が見られるので、気をつけて使うようにしましょう。ここでは、「絶対」「絶体」のそれぞれの意味の違いや例文について解説していきます。
「絶対」と「絶体」の違い
絶対(ぜったい)
意味:ほかに比較するものや対立するものがないこと。
「絶対」は比較対象がない、一切他のものの関与や制限を受けない存在を表します。そのため、他とは別格ということを強調するニュアンスにもなります。また、副助詞としても使うことができ、「どうしても」「決して」という意味になります。「絶対合格する」「絶対に言わない」など強い思いを伝えるときに使います。対になる言葉は「相対」です。
絶体(ぜったい)
意味:「絶体絶命(ぜったいぜつめい)」という四字熟語で、切羽詰まった進退窮まる状態や立場に追い込まれること。
「絶体」は「絶体絶命」という四字熟語で使い、単独で使われることはありません。「絶対絶命」という言葉はありませんが、こう書くと「どうしても絶命する」というニュアンスになり、意味が異なります。
ぜったいダメ! は「絶対」が正しい
「絶体」は「絶体絶命」しかないため、「絶体」は使いません。「ぜったいダメ」の「ぜったい」は副助詞なので「どうしても」という意味になるため、「絶対」を使います。
「絶体」の例文
例文1:エレベーターに閉じ込められてしまい、絶体絶命の危機に追いやられた。
ピンチを表す状態です。四字熟語なので「絶体」を使います。
例文2:隠していた嘘がバレてしまい、絶体絶命の状態となってしまった。
これもピンチを表す状態です。同じく「絶体」を使います。
「絶対」の例文
例文1:明日は大事な会議があるから、絶対に遅刻はできない。
ここの「ぜったい」は副助詞として使っているため、「決して」という意味になるので「絶対」を使います。
例文2:羽生結弦は世界最高得点を大幅に更新し、史上初の300点超えを達成したフィギュアスケート界の絶対王者だ。
「絶対王者」は他とは別格な強さを誇る王者を称える呼称なので、ここでは「絶対」を使います。
論文・小論文で「絶対」「絶体」を使い分ける視点
「ぜったい」は使い間違いの多い漢字です。「絶体」は「絶体絶命」しかありませんが、「絶対絶命」と書かないように気を付けましょう。また「絶体」は単体で使うことはありません。論文・小論文では頻出の漢字でもあるため、それぞれの差に注目してきちんと使い分けましょう。