何かを切ったり、終わらせたりする意味で「たつ」が使われます。漢字では「絶つ」「断つ」「裁つ」と何通りもありますが、それぞれに意味が違うので、区別して使えるようにしておきましょう。ここでは、「絶つ」「断つ」「裁つ」のそれぞれの意味の違いや例文について解説していきます。
「絶つ」「断つ」「裁つ」の違い
絶つ(たつ)
意味:(時間的に)続いていたものを半永久的に終わらせること。
「絶つ」は、「連絡を絶つ」など(時間的に)続いていたものを途中で切る、「命を絶つ」など終わらせる、尽きるという意味に使います。「絶つ」は「断つ」と意味的に重なるところがありますが、「断つ」は一時的に切断することを意味するのに対し、「絶つ」が半永久的に終わらせることを意味します。
断つ(たつ)
意味:(空間的に)つながっていたものを一時的に切り離すこと。
「断つ」は(空間的に)つながっていたものを切り離す、「切断」という意味に使いますが、そこから、比喩的に「お酒を断つ」など習慣となっていたものをやめる、「付き合いを断つ」など縁を切る、「退路を断つ」など、通れないようにさえぎるというニュアンスにも使われます。「絶つ」と意味的に重なるところがありますが、「絶つ」が半永久的なのに対して、「断つ」は一時的に切断することを意味し、再び継続することが可能なことについて用いられます。
裁つ(たつ)
意味:布や紙を寸法に合わせて切ること。
「裁つ」は衣服をつくるなどの目的に合わせて切る場合に用いられます。
関係をたつは永遠に関係を結ばないのなら「絶つ」が、一時的なら「断つ」が正しい
「関係をたつ」は「絶つ」を使えば永遠に関係を結ばないという意味になり、「断つ」を使えば一時的に関係を結ばないという意味になります。状況に合わせてどちらの漢字も使えます。
「絶つ」の例文
例文1:私の父は冬山登山の最中に雪崩に巻き込まれて消息を絶った。
「消息をたつ」は亡くなったことを意図しているため、半永久的に終わらせる意味の「絶つ」を使います。
例文2:予選で敗退してしまったので、決勝戦に出るというチームの希望は絶たれた。
「希望はたたれた」は予選で敗退してしまって、決勝戦にはもう出られないため、半永久的に終了を意味する「絶つ」を使います。
「断つ」の例文
例文1:飼い犬が鎖を断って出て行ってしまった。
「鎖をたつ」は切断の意味を表すので「断つ」を使います。「絶つ」は物理的な切断の意味はありません。
例文2:父はお酒を断って息子の病気が治るよう願掛けをした。
「お酒をたつ」は願掛けで行っているため、息子の病気が治れば、またお酒を飲むことがあるというところから一時的にやめているだけを考えて、ここでは「断つ」を使います。
「裁つ」の例文
例文1:洋服を作るため、子供の寸法に合わせて布を裁つ。
「布をたつ」は寸法に合わせて布を切ることを意味するので「裁つ」を使います。寸法に合わせることなく、ただ布を切るだけなら「断つ」を使います。
例文2:パタンナーは生地を裁って服を作る。
「生地をたつ」は寸法に合わせて生地を切ることを意味するので「裁つ」を使います。寸法に合わせることなく、ただ布を切るだけなら「断つ」を使います。
論文・小論文で「絶つ」「断つ」「裁つ」を使い分ける視点
「絶つ」と「断つ」は似たような意味で間違いやすい漢字ですが、「絶つ」は半永久的に、「断つ」は一時的につながりを切ると覚えておきましょう。「裁つ」は寸法通りに布や紙を切るときにしか使いません。区別して使えるようにしておきましょう。