得意先まわり「周り」「回り」「廻り」正しい漢字はどれ?

「まわり」という漢字は「周り」「回り」「廻り」がありますが、それぞれの違いはどうでしょう?論文・小論文ではそれぞれの違いに注意して上手に文章に取り入れていきましょう。ここでは「周り」「回り」「廻り」のそれぞれの意味の違いや例文について解説していきます。

「周り」「回り」「廻り」の違い

周り(まわり)
意味:周囲のこと。
「周り」は物を取り巻く周囲の環境を意味していて、状況を表わす言葉です。「家の周りの書店」「父の人間関係」など空間的、抽象的にも使うことができます。
回り(まわり)
意味:回転・たどる・周辺の関連事項・移ること。
「回り」はいろんな表現で使われます。「見回り」や「時計回り」「舌が回らない」などはぐるぐる回る様を意味しています。「身の回り」や「水回り」では周辺の関連事項を示し、「一回り上の年齢」などでは尺度を表したりすることもできます。
廻り(まわり)
意味:回りと同じ意味。
「廻り」は「回り」と意味の違いはなく、置き換えて表現することができます。ただ常用外漢字となりますので、普通は「回り」を使うといいでしょう。

得意先まわりは「回り」が正しい

「得意先まわり」は複数の得意先をぐるぐると巡っていくことなので、ここでは「回り」が正解です。「得意先廻り」でもいいですが「廻り」は常用漢字外なのでビジネス用語としては「得意先回り」がふさわしいでしょう。

「周り」の例文

例文1:周りを見ると誰一人私服で来ている人がいなかったので恥ずかしい思いをした。

「まわりを見る」は周囲を見るということなので、ここでは「周り」を使います。

例文2:子供にアイスクリームを食べさせると、どうしても口の周りをベタベタにしてしまう。

「口のまわり」は口の周囲なので、ここでは「周り」を使います。

「回り」の例文

例文1:月末は支払いのため1日中銀行回りになりそうだ。

「銀行まわり」は複数の銀行をぐるぐる巡りながら用事を済ませることなので、ここでは「回り」を使います。

例文2:水回りはなにかとトラブルが起きやすいので、賃貸住宅を借りるときは特に気にしてチェックしている。

「水まわり」は水を扱う台所を中心にした周辺の関連事項となるので「回り」を使います。

「廻り」の例文

例文1:夜廻りはちょっぴり心細くて不安な気持ちにさせられる。

「廻り」という言葉は意味合いでは「回り」と同じとなります。ただ古風な印象をもたらしてくれるために、そんな効果を狙って故意に「廻り」を当てはめて表現する場合があります。「夜廻り」は当然「夜回り」でもOKです。

論文・小論文で「周り」「廻り」「回り」を使い分ける視点

「まわり」は「周り」「廻り」「回り」の漢字がありますが、それぞれ使い方は違います。「周り」は周囲のこと、「回り」はそれ以外の広い意味で使われます。「廻り」は今はあまり使われませんので、論文・小論文では「回り」で統一してもいいでしょう。