「くら」には「蔵」「倉」がありますが、使われるシーンは異なってきます。論文・小論文では正しく使えるようにしていきましょう。ここでは、「蔵」「倉」のそれぞれの意味の違いや例文について解説していきます。
「蔵」と「倉」の違い
蔵(くら)
意味:家財の土蔵。
「蔵」は大事なものを隠してしまいこんでおくところを意味します。また、「蔵元」は蔵を持って品物の貯蔵・保管をして商売している人のことを指し、今は特に酒蔵を持って日本酒を製造・販売する人を指す言葉です。また、年末に閉じていた蔵を新年になって初めて開ける日のことを「蔵開き」と言います。多くの慣用句などはこちらの「蔵」を使うことが一般的です。
倉(くら)
意味:穀物の倉庫。
「倉」は主に米を中心とした穀物を納める建物のことを言います。
おくら入りは蔵が正しい
「おくら入り」は計画されていた事柄が何らかの理由により中止・取り止めとなり、世間の目に触れないまま棚上げになる状況を言う慣用句なので、ここでは「蔵」が正解です。
「蔵」の例文
例文1:蔵元から取り寄せた貴重なお酒を振舞った。
「くら元」は酒蔵を持って日本酒を製造・販売することなので、ここでは「蔵」を使います。
例文2:蔵開きをするという噂を聞きつけ町中の人が集まった。
「くら開き」は年末に閉じていた蔵を新年になって初めて開ける日のことなので、ここでは「蔵」を使います。
「倉」の例文
例文1:倉庫の保管料のことを倉敷料ともいう。
「くら敷料」は倉庫に貨物・商品を保管する料金のことなので、ここでは「倉」を使います。
例文2:このあたりは昔から商いが盛んに行われていて倉渡しも行っていた。
「くら渡し」は売買条件として売手が商品を預けてある倉庫で買手に渡すことをいうので、ここでは「倉」を使います。
論文・小論文で「蔵」と「倉」を使い分ける視点
「くら」は「蔵」「倉」がありますが、それぞれの使われるシーンは異なります。「蔵」は家財や大事なものを隠してしまいこんでおくところ、「倉」は倉庫を意味します。論文・小論文ではよく慣用句も使われますが、慣用句の場合は「蔵」を使うことが多いことを覚えておきましょう。