「いっこ」と読む同音異義語には「一戸」「一個」「一顧」がありますが、意味は全く違います。論文・小論文ではそれぞれの使い方を漢字とともに合わせて覚えておきましょう。ここでは「一戸」「一個」「一顧」のそれぞれの意味の違いや例文について解説していきます。
「一戸」「一個」「一顧」の違い
一戸(いっこ)
意味:一世帯の家。一軒の家。
一個(いっこ)
意味:物ひとつ。
「一個」は物ひとつを指すときに使いますが、時に人を物のようにみなしていうときにも使います。その場合は人ひとりという意味になります。
一顧(いっこ)
意味:ちょっと振り返って目にとめること。
いっこだにしないは一顧が正しい
「いっこだにしない」はちっとも振り返って目にとめることをしないということなので、ここでは「一顧」が正解です。
「一戸」の例文
例文1:昨年父は念願の一戸建ての家を建てた。
「いっこ建ての家」は一軒で建っている家のことなので、ここでは「一戸」を使います。
例文2:都会には一戸を構えて住んでいる単身者は少なくない。
「いっこを構える」は一世帯の家を構えるということなので、ここでは「一戸」を使います。
「一個」の例文
例文1:リンゴを一個だけ買ってきてもらった。
「リンゴをいっこ」はリンゴをひとつということなので、ここでは「一個」を使います。
例文2:単に一個の民間人に過ぎないのだから、それほど期待されても困る。
「いっこの民間人」は一人の人を物のようにみなしているので、ここでは「一個」を使います。
「一顧」の例文
例文1:周りがさんざん忠告したのにも関わらず、彼は一顧だにもせず暴飲暴食を繰り返したため病気になってしまった。
「いっこだにもせず」はちっとも振り返って目にとめることをしないということなので、ここでは「一顧」を使います。
例文2:国民の要望は政府にとってまるで一顧だに値しないもののように、まったく聞き入れてもらえなかった。
「いっこだに値しない」は振り返って目にとめるには値しないということなので、ここでは「一顧」を使います。
論文・小論文で「一戸」「一個」「一顧」を使い分ける視点
「いっこ」という同音異義語は「一戸」「一個」「一顧」がありますが、意味は全く違います。「一戸」は一世帯・一軒家、「一個」は物ひとつ、「一顧」はちょっと振り返り目にとめることを意味します。論文・小論文では、漢字を間違えると意味が全く違ってしまうので、それぞれの意味に注目しながら、漢字もともに覚えておきましょう。