「いっし」は「一子」「一死」「一糸」の漢字がありますが、同音ですが異義語の言葉です。論文・小論文ではそれぞれ間違えずに使えるようにしていきましょう。ここでは「一子」「一死」「一糸」それぞれの意味の違いや例文について解説していきます。
「一子」「一死」「一糸」の違い
一子(いっし)
意味:ひとりの子供。
「一子」はそのほかにも多くの子供の中の一人、嫡子、囲碁の石のひとつなどの意味を表します。
一死(いっし)
意味:命を投げ出すこと。
「一死」はそのほかにも野球で一人がアウトになるワンアウト、一度死ぬこと・一命を捨てることなど「死」を強めた言い方をするときに使います。
一糸(いっし)
意味:きわめてわずかなことのたとえ。
意味:「一糸」はそのほかにも一本の糸という意味や長さ・重さや割合などの単位を表します。
いっし乱れぬは一糸が正しい
「いっし乱れぬ」はわずかも乱れないということなので、ここでは「一糸」が正解です。
「一子」の例文
例文1:友人は一子もうけたものの、その子との折り合いが悪く、今はどこにいるのか不明だという。
「いっしもうける」は子供を一人もうけることなので、ここでは「一子」を使います。
例文2:姉夫婦のところには今年待望の第一子が生まれた。
「第いっし」は一人目の子供のことなので、ここでは「一子」を使います。
「一死」の例文
例文1:一死満塁で逆転のチャンスが到来した。
「いっし満塁」は野球でワンアウト満塁になることなので、ここでは「一死」を使います。
例文2:一死と覚悟を極めながら、戦火の中必死にカメラを回した。
「いっしと覚悟を極める」は命を投げ出して覚悟を決めることなので、ここでは「一死」を使います。
「一糸」の例文
例文1:戦火の中、道端に一糸まとわぬ姿の子供があちこちに倒れていた。
「いっしまとわぬ」はほんのわずかもまとわないということなので、ここでは「一糸」を使います。
例文2:一糸乱れぬ様子でグループで踊る姿は圧巻だった。
「いっし乱れぬ」はほんのわずかも乱れぬということなので、ここでは「一糸」を使います。
論文・小論文で「一子」「一死」「一糸」を使い分ける視点
「いっし」は「一子」「一死」「一糸」がありますが、「一子」は一人の子供、「一死」は命を投げ出すこと、「一糸」はほんのわずかということを意味します。論文・小論文では、それぞれの漢字の違いで意味が変わったくるのできちんと把握して使えるようにしましょう。