「いっと」は「一途」「一兎」がありますが、それぞれの意味は全く違います。論文・小論文では漢字に気を付けて正しい意味で使えるようにしておきましょう。ここでは、「一途」「一兎」のそれぞれの意味の違いや例文について解説していきます。
「一途」と「一兎」の違い
一途(いっと)
意味:同じ道。ただそればかり。
「一途」は同じ道・同一の方針を意味します。また、ただそればかりという意味もあります。
一兎(いっと)
意味:一羽のうさぎ。
「一兎」は二兎を追う者は一兎をも得ずということわざで、二つの物事を欲ばると、どちらも失敗したり中途半端に終わったりするものであるところから、一つの物事に集中せず、あちこちに気を取られることへの戒めを意味する言葉として使われます。
悪化のいっとをたどるは一途が正しい
「悪化のいっとをたどる」はただ悪化するばかりという意味なので、ここでは「一途」が正解です。
「一途」の例文
例文1:旅行業界はコロナ禍で悪化の一途をたどる。
「悪化のいっとをたどる」は悪くなるばかりということなので、ここでは「一途」を使います。
例文2:ただ攻撃の一途あるのみでこの試合はひたすら積極的に攻めた。
「攻撃のいっとあるのみ」はただ攻撃という方針があるのみということなので、ここでは「一途」を使います。
「一兎」の例文
例文1:勉強もクラブもと欲張ると、二兎を追う者は一兎をも得ずでどちらも満足な成果が出ないままになってしまった。
「二兎を追う者はいっとをも得ず」は二つの物事を欲ばると、どちらも失敗したり中途半端に終わったりするものであるということから、ここでは「一兎」を使います。
例文2:二兎を追う者は一兎をも得ずというように欲張るとろくなことがないので、私は実直にひとつのことだけに集中したいと思います。
「二兎を追う者はいっとをも得ず」は二つの物事を欲ばると、どちらも失敗したり中途半端に終わったりするものであるということから、ここでは「一兎」を使います。
論文・小論文で「一途」と「一兎」を使い分ける視点
「いっと」は「一途」「一兎」がありますが、意味は全く異なります。論文・小論文では「一途」は同じ道・ただそればかり、「一兎」は「二兎を追う者は一兎をも得ず」のことわざとして覚えておきましょう。