つかんで離さないという意味の「とらえる」には「捉える」「捕らえる」の2種類がありますが、それぞれ意味が違います。論文・小論文ではそれぞれの意味を把握した上で書けるようにしていきましょう。ここでは、「捉える」「捕らえる」のそれぞれの意味の違いや例文について解説していきます。
「捉える」と「捕らえる」の違い
捉える(とらえる)
意味:つかむ、把握する。
「捉える」は、つかんではなさないという意味と、物事の内容を理解したり、認識したりする意味や「若者の心を捉える」などのように惹きつけるという意味もあります。「捉える」には逃げるものを取り押さえるというニュアンスはありません。
捕らえる(とらえる)
意味:取り押さえる。
「捕らえる」は逃げようとしている人や生物などをつかまえて、しっかりと押さえることを意味します。人や物、生物などを形あるものに使われます。対義語は「逃がす」になります。
イメージをとらえるは捉えるが正しい
「イメージをとらえる」はイメージを把握するということで、逃げようとしているものを取り押さえることではないことから、ここでは「捉える」が正解です。
「捉える」の例文
例文1:今のゲームはやればやるほど夢中になる仕掛けがあり、若者の心を捉えて離さない。
「心をとらえる」は心をつかむという意味であることと、逃げようとしているものを取り押さえることでないことから、ここでは「捉える」を使います。
例文2:言葉の捉え方によって相手に伝わるニュアンスもずいぶん違ってくる。
「とらえ方」は把握の仕方という意味であることと、逃げようとしているものを取り押さえることでないことから、ここでは「捉える」を使います。
「捕らえる」の例文
例文1:ひったくり犯人を急いで追いかけたが、捕らえることはできなかった。
「犯人をとらえる」は逃げようとする犯人を取り押さえることなので、ここでは「捕らえる」を使います。
例文2:熊は魚を捕らえることができるように、子供のころから練習をするようだ。
「魚をとらえる」は逃げようとする魚を取り押さえることなので、ここでは「捕らえる」を使います。
論文・小論文で「捉える」「捕らえる」を使い分ける視点
「とらえる」は「捉える」「捕らえる」の2つがありますが、それぞれ「捉える」はつかむ、把握する、「捕らえる」は取り押さえると覚えておきましょう。ポイントは逃れようとするもの、形あるものは「捕らえる」、それ以外は「捉える」と把握しておくといいでしょう。論文・小論文で書く時には、同時に送り仮名にも注意する必要があります。「とらえる」は「捉える」の時は「える」、「捕らえる」の時は「らえる」となります。「捕える」と書く時もありますが、「捕らえる」の方が正式です。