「ひく」という漢字は「引く」「惹く」「曳く」「挽く」がありますが、それぞれ使い方が違います。論文・小論文ではそれぞれの違いを区別した上で使えるようにしていきましょう。ここでは、「引く」「惹く」「曳く」「挽く」のそれぞれの意味の違いや例文について解説していきます。
「引く」「惹く」「曳く」「挽く」の違い
引く(ひく)
意味: 手前に引き寄せること。
「引く」は「レバーを引く」など手前に引き寄せることですが、その他にも「手を引く」など引き寄せて操り目的の場所へ導く、「図面を引く」など線状に伸ばして延べる、「痛みが引く」など出ているものが遠くへ去るなど、広く様々な意味に使います。
惹く(ひく)
意味:心をひきつけること。
「惹く」は他人の注意や関心をこちらに向けさせるという意味です。限定的な使い方しかできず、常用外漢字なので、「引く」を変わりに使うこともあります。
曳く(ひく)
意味:ひっぱる・ひきずること。
「曳く」は船や車などの大きなものをずるずるとひきずって移動することを意味します。常用外漢字なので、「引く」を変わりに使うこともあります。
挽く(ひく)
意味:うすなどでひいて粉にすること。
うすの他にも、のこ、かんな、のこぎり、ろくろなどを使用する動作にも使います。常用外漢字なので、ひらがなで書くこともあります。
興味をひくは「引く」「惹く」が正しい
「興味をひく」は心をひきつけることなので、「惹く」が正解です。常用外漢字なので、変わりに「引く」を使ってもかまいません。
「引く」の例文
例文1:紐を引けばチャイムが鳴り、看護師がやってくる。
「紐をひく」は紐を手前に引き寄せることなので、ここでは「引く」を使います。
例文2:子供の手を引いて幼稚園に送り迎えをする。
「手をひく」は手を引き寄せて操り目的の場所へ導くということなので、ここでは「引く」を使います。
「惹く」の例文
例文1:彼が弾いたギターに心惹かれて、どんどん彼のことが好きになっていった。
「心ひかれる」は心をひきつけることなので、ここでは「惹く」を使います。
例文2:人目を惹くファッションで街中に繰り出すのは勇気がいる。
「人目をひく」は人目をひきつけることなので、ここでは「惹く」を使います。
「曳く」の例文
例文1:夜の間は船を曳いて陸に上げておく。
「船をひく」は船をひきずって移動することなので、ここでは「曳く」を使います。
例文2:はまった泥沼から車を曳いて脱出させた。
「車をひく」は車をひっぱって移動することなので、ここでは「曳く」を使います。
「挽く」の例文
例文1:ここの喫茶店は、気になった豆をその場で挽いてコーヒーを入れてくれる。
「豆をひく」は豆を粉にすることなので、ここでは「挽く」を使います。
例文2:うすで挽いた抹茶は香りがよくおいしい。
「うすでひく」はうすで粉にすることなので、ここでは「挽く」を使います。
論文・小論文で「引く」「惹く」「曳く」「挽く」を使い分ける視点
「ひく」は漢字がいくつもありますが、「惹く」は心をひきつける、「曳く」はひきずる、「挽く」は粉にする、「引く」はその他の様々なことに使うと覚えておきましょう。論文・小論文では迷ったら常用漢字の「引く」を使うようにしましょう。