かたい表情 「固い」「堅い」「硬い」正しい漢字はどれ?

「かたい」にはいくつかの漢字がありますが、それぞれが表す意味には違いがあります。ですが、その違いは意外と知られていないことも。論文・小論文では、違いを理解して正しく書けるようにしましょう。ここでは、「固い」「堅い」「硬い」のそれぞれの意味の違いや例文について解説していきます。

「固い」「堅い」「硬い」の違い

固い(かたい)
意味:外部が丈夫な様子・心が強く揺るがない様子。
「固い」は「強固」や「頑固」のように、全体が強くまとまりがあって変化しにくい、結びつきが強い状態を言います。そこから転じて揺るぎない、厳格であるというニュアンスにもなります。対義語は「緩い」(ゆるい)になります。対義語の「緩い」から、全体が密であるというニュアンスがある点が他とは違います。
堅い(かたい)
意味:中身が詰まっている様子・堅実な様子。
「堅い」は「堅実」のように形の安定性が高くすぐに崩れたりしないさま、確実なさまをいいます。そこから、信用が置ける・まじめ・几帳面であるという状態を意味します。対義語は「脆い」(もろい)になります。対義語が「脆い」という点から、形がしっかりしていて崩れにくいというニュアンスがある点が他とは違います。
硬い(かたい)
意味:外力に強い形が変わりにくい様子、ぎこちない様子。
「硬い」は「硬直」のように物が力を加えられても、容易に形や状態を変えないこわばった状態、緊張してぎこちない状態を意味します。また、まじめ一方で、面白みがなくかたくるしい、きまじめなことや、厳重できびしいというニュアンスもあります。対義語は「柔らかい」「軟らかい」になります。対義語が「柔らかい」「軟らかい」という点から、硬度があって丈夫で形が変わりにくいというニュアンスがある点が他とは違います。

かたい表情は硬いが正しい

「かたい表情」はぎこちない表情のことを言います。また、対義語が「柔らかい表情」となるため、ここでは「硬い」が正解です。

「固い」の例文

例文1:登山をするときは、靴ひもを固く結んでおきましょう。

「かたく結ぶ」はひもとひもの結びつきが強いことを言います。また、対義語は「ゆるく結ぶ」なので、ここでは「固い」を使います。

例文2:先生はいつもしっかりとした固い口調で話しをするので緊張する。

「かたい口調」は揺るぎない厳格な口調を言います。また、対義語は「緩い口調」となるため、ここでは「固い」を使います。

「堅い」の例文

例文1:堅い守りでチームを優勝まで導いた。

「かたい守り」は堅実な守りのことを言います。対義語は「もろい守り」なので、ここでは「堅い」を使います。

例文2:この先は堅い壁のような岩なので掘り進めていくのは難しいだろう。

「堅い壁」は中身が詰まっていて、しっかりした壁のことを言います。対義語は「もろい壁」で中身がスカスカした崩れやすい壁なので、ここでは「堅い」を使います。

「硬い」の例文

例文1:体が硬いと怪我しやすくなるので、スポーツをするときはいつも柔軟体操をした方がいい。

「体がかたい」は体が容易に形や状態を変えないこわばった状態を言います。また、対義語は「体が柔らかい」となるため、ここでは「硬い」を使います。

例文2:この作家の文章は硬い表現が多いので、なかなかすらすらとは読めない。

「かたい表現」は、まじめ一方で面白みがないきまじめな文章のことを言います。対義語は「柔らかい表現」となるため、ここでは「硬い」を使います。

論文・小論文で「固い」「堅い」「硬い」を使い分ける視点

「固い」「堅い」「硬い」はそれぞれよく似た言葉で、違いを分けるのは難しい漢字です。そのため、それぞれの対義語で違いを理解しておきましょう。「固い」の対義語は「緩い」、「堅い」の対義語は「脆い」、「硬い」の対義語は「軟らかい、柔らかい」になります。論文・小論文ではよく使う言葉なので、間違いなく使えるようにしておきましょう。