産学できょうどうする 「共同」「協同」正しい漢字はどっち?

「きょうどう」という言葉には「共同」「協同」がありますが、2つの意味は似ているようで少し違います。論文・小論文では、ちょっとした違いで言いたいことが変わってしまうこともあるので、それぞれしっかりと意味を把握しておきましょう。ここでは、「共同」「協同」のそれぞれの意味の違いや例文について解説していきます。

「共同」と「協同」の違い

共同(きょうどう)
意味:複数の者が一緒にする(使う)こと。
「共同」は、「共同施設」など対等な関係同士の人間が2人以上集まり、何かの物事に取り組む様子を表す言葉です。「協同」と違う点として、お互いが協力するというニュアンスがないため、協力し合っていなくても対等な関係で同じことを行っていれば「共同」といえます。
協同(きょうどう)
意味:複数の者が力をあわせること。
「協同」は、2人以上の人が共に心と力を合わせて協力して事に当たるときに使う言葉です。目的や利益は一致している者同士が協力し合う、助け合うというニュアンスが含まれます。「共同」と違う点として、物事に取り組む者同士は同じ条件や資格になくてもよいところです。そのため、それぞれの身分が違っていても協力して助け合っていれば「協同」といえます。また、「協同」は「協同する」という動詞にも使うことができます。

産学できょうどうするは協同が正しい

「産学きょうどう」は、産業界と学校とが相互に協力し合って、研究や技術者教育の促進を図ることなので、ここでは「協同」が正解です。

「共同」の例文

例文1:大学と共同で研究開発を進める企業は少なくない。

「大学ときょうどうで研究開発を進める」は大学の研究者が企業などから研究費をもらい、それぞれが対等な立場で研究開発を進めることなので、ここでは「共同」を使います。その結果、協力し合うことがあるかもしれませんが、あくまでそれは結果であり、言葉そのものは対等な関係で一緒に研究することなので「共同」が正解です。

例文2:共同墓地には外国からやってきて日本で生涯を全うした外国人も眠っている。

「きょうどう墓地」は複数の人を同じ場所へ納骨した墓地のことをいいます。お墓の面倒を見る人がいない同じ資格を持った人たちが同じ納骨をすることなので、ここでは「共同」を使います。

「協同」の例文

例文1:生活協同組合は生産者と消費者がお互いに助け合って作られた組織です。

「生活きょうどう組合」は、組織の一員としてお互いに助け合いながら物事を行っていく組織のため、ここでは「協同」を使います。

例文2:社員一同、この難局に対して和衷協同して立ち向かえば必ず打開策は見つかるはずだ。

「和衷きょうどう」は心を同じくして共に力を合わせ仕事や作業に当たることを意味するため、ここでは「協同」を使います。

論文・小論文で「共同」と「協同」を使い分ける視点

誰かと何かすることを意味する「きょうどう」という言葉ですが、「共同」は対等な立場で一緒にすること、「協同」は協力してすることを意味します。論文・小論文でどちらを使うか悩んだ時は、日常的に使われる頻度は「共同」が圧倒的に多いということを頭の片隅に入れておくといいでしょう。