「納める」「収める」「治める」は区別のつきにくい漢字ですが、論文・小論文ではよく使われる言葉でもあるため、それぞれどんな時に使えばいいのかしっかり理解しておきましょう。ここでは「納める」「収める」「治める」のそれぞれの意味の違いや例文について解説していきます。
「納める」「収める」「治める」の違い
税金をおさめるは「納める」が正しい
「税金をおさめる」はお金にまつわる義務的な行為を伴うことなので、「納める」が正解です。
「納める」の例文
「月謝をおさめる」はお金にまつわることを指すので、「納める」を使いましょう。
商売上の物品や縁起物などを相手に渡すときは「納める」を使いましょう。「納品」や「結納」という表現がありますよね。
「収める」の例文
「思い出をおさめる」は「きちんと決まった場所にしまう」「収録する」という意味なので、「収める」を使います。
「場をおさめる」は慣用句で、「危機や問題がある状況を何とかやり過ごす」という意味です。そのため、「混乱をおさめる」「収拾する」という意味の「収める」を使います。
「治める」の例文
「国をおさめる」は、「支配する」という意味なので「治める」を使います。「統治」「治世」と国家に関することは「治める」を使うことが多くなります。
「痛みをおさめる」は「苦痛が去る」という意味なので、「治める」を使います。
論文・小論文で「納める」「収める」「治める」を使い分ける視点
「おさめる」は混乱しやすい漢字の1つです。「怒りをおさめる」は怒りを収拾するという意味なので「収める」を使います。収拾は「混乱をおさめる」というニュアンスがあります。ですが、怒りを鎮静するという意味では「治める」という漢字を使うのが正しいということになり、どちらを使っても間違いにはなりません。同じく、「納める」と「収める」はともに「入るべきところに落ち着く」というニュアンスがあるため、「引出しにおさめる」はどちらの漢字を使っても間違いにはなりません。そのように、あいまいな部分がありながらも、論文・小論文では、「納める」は「納入する」もしくは「終わりにする」、「収める」は「しまう」「手に入れる」、「治める」は「支配する」「治す」という目星をつけた上で使い分けましょう。