「かえる」は使い分けが数多くある漢字の1つでもあります。論文・小論文では頻出する感じでもあるので、それぞれの意味をきちんと把握した上で使えるようにしましょう。ここでは「帰る」「返る」のそれぞれの意味の違いや例文について解説していきます。
「帰る」と「返る」の違い
我にかえるは「返る」が正しい
「我にかえる」は気を失っていたのが正気に戻ることです。元の状態に戻ることなので「返る」を使います。「頬を叩かれて我に返った」などと使います。
「帰る」の例文
「家にかえる」は元の居場所に戻ることなので「帰る」を使います。ちなみに、営業先から会社に向かう時は、「会社に帰る」より「会社に戻る」と使う方が一般的です。これは、会社は家ほど帰属意識や愛着がないからと考えられますが、もし、会社に帰属意識や愛着があれば、「会社に帰る」と使ってもかまいません。
「実家にかえる」ということなので、「帰る」を使います。元の居場所に戻るときに「帰る」を使いますが、長く実家に帰っていなかったとしても、気持ちの上で帰属意識や愛着を感じていると考えられるのならば「帰る」を使います。
「返る」の例文
「財布がかえる」は失った状態から元のある状態に戻ることなので「返る」を使います。
「返事がかえる」は相手の反応が戻ってくることなので「返る」を使います。
論文・小論文で「帰る」と「返る」を使い分ける視点
論文・小論文では、「帰る」は場所に戻ることで、「返る」はそれ以外と考えておけばいいでしょう。ですが、「初心にかえる」の「かえる」は初心回帰のように元の場所にかえると考えて「帰る」とする場合と、元の状態にかえると考えて「返る」とする場合と両方があります。そのような場合はどちらを使ってもかまいませんし、ひらがなで使うことも多いようです。「童心にかえる」も同様です。また、「生きかえる」は死んでいたものがもとの状態に戻るので「返る」ですが、「生きてかえる」になると、生きて元の場所に戻るという意味なので「帰る」が正しくなります。ちょっとした差で変わってくるので気をつけましょう。