株安をうれいた 「愁い」「憂い」正しい漢字はどっち?

「うれい」は「愁い」と「憂い」の漢字がありますが、どちらもお互いの意味を合わせ持っているという性質があります。そのため、どちらを使うのが適当か悩みやすい言葉ともなっております。ここでは「愁い」「憂い」のそれぞれの意味の違いや例文について解説していきます。

「愁い」と「憂い」の違い

愁い(うれい)
意味:寂しさや悲しさを感じ心を閉ざす様。
「愁い」は、もの悲しさ、寂しさなどを感じ憂鬱な様をいいます。時には理由もなく自然と悲しくなったり寂しくなったりすることもありますが、これも「愁い」に含まれるでしょう。「哀愁」「旅愁」のように嘆き悲しんだりする表現に「愁」という漢字は使われています。英語ではメランコリーやセンチメンタルなどが当てはまります。
憂い(うれい)
意味:心配や不安を感じること。
「憂い」は、良くない状態を予測して、心を痛めたり不安になったりすることをいいます。物事の将来に対して持つ心配や恐れを指します。そのため、実際にはその悩みは取り越し苦労ということもあります。「憂い」と書いて「うい」と読むこともあります。この場合は「憂鬱」「杞憂」などのように「思うように気晴らしできず、苦痛を感じる」という意味になり、意味が異なるので注意しましょう。

株安をうれいたは「憂いた」が正しい

「株安をうれいた」は、株が安くなったことを不安や心配に思ったというところから、ここでは「憂い」を使います。

「愁い」の例文

例文1:失恋してからというもの、彼女は常に愁いを帯びた表情で、心ここにあらずだ。

「うれいを帯びた表情」は、失恋してから物思いにふけることが多いということなので、ここでは「愁い」を使います。

例文2:秋は愁いに沈みやすい季節だからこそ、おいしいものを食べて気晴らしをするのが一番だ。

「うれいに沈みやすい」は理由もなく秋は物悲しくなる季節だということなので、ここでは「愁い」を使います。

「憂い」の例文

例文:災害の際も備えあれば憂いなしなので、しっかり準備をしておきましょう。

「備えあればうれいなし」は、しっかり準備すれば、もしもの時に何も心配することはないことを意味するため、ここでは「憂い」を使います。

例文2:今年の後輩は優秀なので、後顧の憂いなく退職することができる。

「後顧の憂い」(こうこのうれい)は後々の不安を意味するため、ここでは「憂い」を使います。

論文・小論文で「愁い」と「憂い」を使い分ける視点

「愁い」は悲しみ、「憂い」は心配という意味があります。それぞれ悲しみなのか、心配なのかによって使い分けましょう。「愁い」は現在のことを話題にし、「憂い」は未来のことを話題にする性質があるため、「憂い」は取り越し苦労になることもあります。そのことも頭の片隅に入れておくといいですね。