「うえる」には「飢える」「餓える」の2つがありますが、2つの区別はどのようにすればいいでしょう?論文・小論文ではどんな場合にどちらを使えばいいのかを知った上で、適切に使えるようにしましょう。ここでは、「飢える」「餓える」のそれぞれの意味の違いや例文について解説していきます。
「飢える」と「餓える」の違い
飢える(うえる)
意味:食物が乏しくて腹が減ること。
「飢える」は「飢饉」「飢民」など、食物に欠乏してひもじくなることをいいますが、その他にも「愛情に飢える」など愛情を強く求めるという意味もあります。
餓える(うえる)
意味:食物が不足して体がやせ細ること。
「餓える」は空腹でひどく苦しむことをいいます。「餓鬼」「餓死」など、「飢える」よりも程度がひどい状況をいいます。常用外漢字なので、「飢える」を変わりに使うこともあります。
食べ物がなくてうえるは「飢える」「餓える」両方とも正しい
「食べ物がなくてうえる」はその程度は文脈によって様々なので、「食物が乏しくて腹が減ること」という意味では「飢える」、「食物が不足して体がやせ細ること」という意味では「餓える」の両方とも正解です。
「飢える」の例文
例文1:彼はこの前まで海外で生活していたので日本食に飢えている。
「日本食にうえている」は、日本食に欠乏しているという意味なので、ここでは「飢える」を使います。「飢える」は必ずしも腹が減るわけではありません。
例文2:一家の主として家族を飢えさせるわけにはいかない。
「家族がうえる」は、家族が生活に苦労するということなので、ここでは「飢える」を使います。「飢える」は必ずしも腹が減るわけではありません。
「餓える」の例文
例文1:難民キャンプには餓えてガリガリになった子供がたくさんいた。
「うえてガリガリになる」は生命維持が難しくなるほど食物が不足して体がやせ細ることなので、ここでは「餓える」を使います。
例文2:内戦が長引くと、戦争で人が死ぬだけでなく、餓えて死ぬ人も少なくない。
「うえて死ぬ」は生命維持が難しくなるほど食物が不足して体がやせ細って死ぬことなので、ここでは「餓える」を使います。
論文・小論文で「飢える」と「餓える」を使い分ける視点
「うえる」は「飢える」「餓える」の2種類がありましたが、「飢える」はお腹がすくという程度、「餓える」は苦しいという程度と、大きくは程度によって分けることができます。ですが、「餓える」は常用外漢字なので、論文・小論文で書くときは、無理して「餓える」を使わず、「飢える」で統一してしまってもかまいません。