「そくした」という言葉は「即した」「則した」の2つの漢字がありますが、それぞれは意味の違う漢字です。論文・小論文では理解した上で上手に使って行けるようにしましょう。ここでは、「即した」「則した」のそれぞれの意味の違いや例文について解説していきます。
「即した」と「則した」の違い
即した(そくした)
意味:現実の事態に合わせること。
「即する」は、理論や建前などにとらわれず、その時々の事態にぴったり適合・適応させるという意味です。
則した(そくした)
意味:基準にして従うこと。
「則する」は、理論・規則・手本といったものをよりどころにし、それに従って何かを行うという意味です。
現実にそくした対応は即したが正しい
「現実にそくした対応」は現実に事態を合わせた対応をいうので、ここでは「即した」が正解です。
「即した」の例文
例文1:ICTを利用したオンライン授業は時代に即した教育と言えよう。
「時代にそくした」は時代の現実に合わせることを言うため、ここでは「即した」を使います。
例文2:コロナ禍で事務所が不要になったという事実に即して、都心のビルは値下がりしているらしい。
「事実にそくして」は現実の事実に合わせることを言うため、ここでは「即した」を使います。
「則した」の例文
例文1:たとえ有事の際であっても、法律に則した行動が求められる。
「法律にそくした」は法律を基準にして従うことを意味するので、ここでは「則した」を使います。
例文2:何か問題が起これば、前例に則して処分すれば大丈夫だろう。
「前例にそくした」は前例を基準にして従うことを意味するので、ここでは「則した」を使います。
論文・小論文で「即した」と「則した」を使い分ける視点
「そくした」という漢字は「即した」「則した」の2つがありますが、「即した」は事実や状況、変化などに対して使い、「則した」法律や規則、規範などに対して使うと区別しておきましょう。論文・小論文では「そくした」を使う機会は多いと思いますが、その際もしっかりと正しいものが書けるようにしましょう。