痛みに関する「ちんつう」ですが、「鎮痛」「沈痛」の2つがあります。それぞれはよく似た意味ですが、細かい点で違いがあります。そこで、論文・小論文ではその点に注目して区別して使えるようにしましょう。ここでは、「鎮痛」「沈痛」のそれぞれの意味の違いや例文について解説していきます。
「鎮痛」と「沈痛」の違い
鎮痛(ちんつう)
意味:体の痛みを抑える。
「鎮痛」は、ケガや病気で身体に痛みがある時に、何らかの方法で痛みを和らげることを言います。「鎮痛」は名詞で、「鎮痛薬」など、複合名詞として使われることが多くなります。体の痛みに対して使われます。
沈痛(ちんつう)
意味:心をいためる。
「沈痛」は、深い悲しみや心配ごとで心を痛めている様子を意味します。悲しい思いをした時や、心配でいてもたってもいられない時など、精神的なストレスから胸が詰まった様に痛むことを言います。「沈痛」は名詞で、「沈痛な顔つき」など名詞を修飾して使われることが多くなります。心の痛みに対して使われます。
ちんつうな面持ちは沈痛が正しい
「ちんつうな面持ち」は心を痛めている顔つきのことなので、ここでは「沈痛」が正解です。
「鎮痛」の例文
例文1:体に痛みが生じたときには、我慢せずすぐに鎮痛剤を飲んだ方がいい。
「ちんつう剤」は体の痛みを抑える薬のことなので、ここでは「鎮痛」を使います。
例文2:この薬は沈痛効果が高いので、我慢できない痛みの時には服用してください。
「ちんつう効果」は体の痛みを抑える効果のことなので、ここでは「鎮痛」を使います。
「沈痛」の例文
例文1:母は沈痛な面持ちで時間になっても戻らない子供の帰りを待っていた。
「ちんつうな面持ち」は心をいためる顔つきのことなので、ここでは「沈痛」を使います。
例文2:海に原発の処理水を放出しないよう漁師たちは沈痛な思いで嘆願書を提出した。
「ちんつうな思い」は心をいためる想いのことなので、ここでは「沈痛」を使います。
論文・小論文で「鎮痛」と「沈痛」を使い分ける視点
痛みに関する「ちんつう」という言葉は「鎮痛」「沈痛」の2つがあります。それぞれの意味はよく似ていますが、細かい点で違いがあります。「鎮痛」は体の痛みを抑えること、「沈痛」は心の痛みのことです。論文・小論文ではよく間違える漢字でもあるので、それぞれの意味と言葉をセットで覚えるようにしてみましょう。