「いただく」は「頂く」「戴く」と漢字で書くこともできます。しかし、その違いはなかなか知られていないかもしれません。論文・小論文では使い方の間違いは避けたいところなので、「いただく」もまつわる違いについてはよく押さえておきましょう。ここでは、「いただく」「頂く」「戴く」のそれぞれの意味の違いや例文について解説してきます。
「頂く」「戴く」「いただく」の違い
頂く(いただく)
意味:「もらう」の謙譲語。
「頂く」は「お土産を頂く」など「もらう」の謙譲語です。そのほかにも、「ご飯を頂く」など「食べる・飲む」の意味や、「お叱りを頂く」「助言を頂く」など言葉をもらうという意味にも使います。おもに行為に働きます。
戴く(いただく)
意味:「もらう」の謙譲語。ありがたく受けるということ。
「戴く」と「頂く」は基本的には同じ意味ですが、「戴く」は常用外漢字のため、「頂く」を変わりに使っているものが多くなります。その中でも、「戴く」はありがたく受けるという意味合いがあるため、相手が自分よりも非常に上でかしこまる場合や物品や品物に関わる時に「戴く」を使います。
いただく
意味:補助動詞として使う「~してもらう」の敬語表現
補助動詞は、前に動詞があって、それを補う目的で用いられます。「いただく」は「~してもらう」の敬語表現となります。補助動詞は「て」や「で」に続く形で使われますので、例えば「案内してもらう」を「案内していただく」に置き換えて使うことができます。
教えていただくは「いただく」が正しい
「教えていただく」は「て」の後に「いただく」が来るので、この場合は補助動詞となるひらがなの「いただく」が正解です。
「頂く」の例文
例文1:お土産はおやつの時間にみんなで頂きましょう。
「みんなでいただく」は「みんなで食べる」という意味なので、ここでは「みんなで頂く」を使います。
例文2:資料の不備が見つかり、取引先からお小言を頂いた。
「お小言をいただく」はしかられるという意味なので、決して名誉なことではありません。ここでは「頂く」を使います。
「戴く」の例文
例文1:100万円の契約が取れたので、社長から社長賞を戴きました。
「社長賞をいただく」は社長という自分よりも非常に上でかしこまる相手から賞をもらったということで、ここでは「戴く」を使います。
例文2:国民的スターから念願のサインを戴きました。
「サインをいただく」は自分にとって雲の上の存在のスターから品物をもらうということで、ここでは「戴く」がふさわしいでしょう。
「いただく」の例文
例文1:雨の中を走っていただいて恐縮です。
「走って」に対して補助動詞の「いただく」が来るのが自然です。
例文2:時間ですので急いでいただけると助かります。
こちらも「急いで」の後なので補助動詞の「いただく」を使います。
論文・小論文で「頂く」「戴く」「いただく」を使い分ける視点
「頂く」は行為に関わる時、「戴く」はかしこまるとき、「いただく」は補助動詞として使うという特徴があります。「戴く」は常用外漢字なので気を付けましょう。