「荒い」や「粗い」という漢字は、論文・小論文でよく使われます。ですが、似たようなニュアンスを持つため、使い分けが難しい言葉でもあります。上手に使い分けられるようイメージをしながらインプットしておきましょう。ここでは、「荒い」「粗い」のそれぞれの意味の違いや例文について解説していきます。
「荒い」と「粗い」の違い
言葉づかいがあらいは「荒い」が正しい
「言葉づかいがあらい」は乱暴で暴力的な言葉のつかい方を指すため、「荒い」が正しくなります。乱暴な言葉とは細かい配慮に欠けた言い方をいい、具体的にはぶっきらぼうな言い方、威圧感のある言い方、下品な言い方などがあります。また、「口が悪い」という言葉がありますが、こちらも細かい配慮の欠けた言い方ではあるものの、オブラートに包まず、思ったままずけずけということを指します。
「荒い」の例文
呼吸の回数が激しくなるため、ここでは「荒い」になります。ちなみに、「鼻息が荒い」という言葉もありますが、こちらは意気込みが強い、強気で威勢がよい様子を表します。「今日の株式相場は荒れに荒れた」などと勝負ごとや会議、相場などに波乱が起こるときにも使います。
ここでの「荒い」は暴力的なニュアンスが含まれます。「人づかいが荒い」「金づかいが荒い」は暴力的なニュアンスが転じて、けじめがない、度をこしている様子を表します。
ここでの「荒れる」は「荒廃する」ということです。荒廃する大地とは、食物を植えるには適さない、養分や水分のない損なわれた土地のことで、同じように「肌荒れ」などにも肌が整っていない状態、水分が損なわれてかさかさした状態のときに使います。転じて「荒れた家」「生活が荒れる」などになると、「損なわれてだめになる」というニュアンスが強くあります。
「粗い」の例文
ここでの「粗い」は「粒が大きい」ということです。「編み目の粗いセーター」となると、ここでの「粗い」は「すきまが大きい」という意味になります。
ここでの「粗い」は手触りがなめらかでなく、ざらざらしているという意味です。同じざらざらしているという意味では「荒い」も「肌荒れ」など似たニュアンスがあるので気を付けましょう。ちなみに、「肌のきめがあらい」は「粗い」を使います。これは、きめの大きさが同じではないというニュアンスから「粗い」を使っています。
ここの「粗い」は大ざっぱ、大まかということです。「粗く本読みをする」など、ざっと目を通すときにも使います。
論文・小論文で「荒い」「粗い」を使い分ける視点
「あらい」は論文・小論文の中でもよく出てくるのに区別しにくい漢字のひとつです。「荒い」は人や物の動きを表し、「粗い」は人や物の状態を表すという特徴があるので、まずはその点を抑えておきましょう。ただ、「荒れた大地」などは状態を表すのに「荒い」を使ったり、「肌荒れ」も「きめが粗い」も、同じようにざらざらしている状態なのに、漢字が違ったりと、それだけでは見分けられないものもあります。そこで、「荒い」は「穏やか」、「粗い」は「細かい」という対義語も合わせて比較してみるといいでしょう。