「たいしょう」は該当する漢字の多い言葉なので、間違いやすくもあります。論文・小論文でもよく間違える漢字として挙げられることがあるものなので、区別して覚えておきましょう。ここでは、「対象」「対称」「対照」のそれぞれの意味の違いや例文について解説していきます。
「対象」「対称」「対照」の違い
対象(たいしょう)
意味:意識や行為が向かう相手や目標のこと。
「対象」はターゲットのことを表します。1つの物事、もしくは複数でも一括りとなる物事に対して用いられるという特徴があります。「恋愛対象は30歳以上」などとなれば、30歳以上は恋愛のターゲットに入るということになります。また、逆の意味に使う時は「対象外」などと使います。
対称(たいしょう)
意味:2つの物の間に対応関係があり釣り合いが保たれていること。
「対称」は「左右対称」「線対称」などのように使われ、シンメトリーのことを表します。名詞として使います。反対の意味は「非対称」です。
対照(たいしょう)
意味:2つの物事を照らし合わせて違いを比べること。対立するもの同士を比べて違いを明確にすること。
「対照」はコントラストのことです。「比較対照」など2つの物事の違いを比較することのほかに、「対称的」など性質が異なるものの違いが際立つ、つまり正反対のことを表します。名詞としても動詞としても使います。
有給のたいしょうとなるは対象が正しい
「有給のたいしょう」は有給のターゲットになるというという意味なので「対象」を使います。
「対象」の例文
例文1:幼児を対象にした絵本を探している。
「幼児をたいしょうにする」ということで、ターゲットという意味になるため「対象」を使います。
例文2:彼の発言がテレビで批判の対象になっている。
「批判のたいしょう」ということで、批判のターゲットという意味になるため「対象」を使います。
「対称」の例文
例文1:このマンションは左右対称になるよう設計されている。
「左右たいしょう」は左右が互いに釣り合うという意味なので「対称」を使います。
例文2:大学の校舎は事務室をはさんで対照的に教室が並んでいるのでとてもわかりやすい。
ここでの「たいしょう的」は釣り合いが保たれていることを表しているため、互いに形や配列といったものが全く同じことを意味します。そのため、「対称」を使います。
「対照」の例文
例文1:この写真は明と暗の対照が際立つ作品だ。
「明と暗のたいしょう」ということで2つの物事を照らし合わせて違いを比べているため「対照」を使います。
例文2:あの2人は双子なのに対照的な性格をしている。
「たいしょう的」は正反対の意味で使われているため、ここでは「対照」を使います。
論文・小論文で「対象」「対称」「対照」を使い分ける視点
「対象」はターゲット、「対称」はシンメトリー、「対照」はコントラストと覚えておくと簡単です。ですが、「比較たいしょう」という言葉は、「対象」にすれば、ここでは対象物のAではなく、Aと比べるために用意したBのことを指します。「対照」にすれば2つを比べた結果の際立った違いについて指しています。また、「たいしょう的」も「対照的」は正反対のことを意味しますが、「対称的」は同じことを意味します。このように、漢字を間違えれば大きく意味が変わってきてしまうため、論文・小論文では言いたいことが述べられるようにきちんと区別して使うようにしましょう。