「あずかる」には「預かる」や「与る」がありますが、どちらもそれぞれ使い方が違います。論文・小論文で正しく使うためにはきちんとそれぞれの違いを把握しましょう。ここでは、「預かる」「与る」のそれぞれの意味の違いや例文について解説していきます。
「預かる」と「与る」の違い
預かる(あずかる)
意味:保管・管理を引き受けること。保留すること。
「荷物を預かる」など一時的に保管・管理を引き受けるという意味の他に、「辞表を預かる」などすぐ決めないで保留するという意味もあります。
与る(あずかる)
意味: ある事柄に関係すること、あるいは、好ましい影響を受けるということ。
「与る」は「事業計画の立案に与る」など、「関わりをもつこと」「関与すること」という意味と、「お褒めに与る」など、主に目上の方から好意の表れとして、あることを受けたりこうむったりするという意味を持ちます。受けたりこうむったりするものは、主に「恩恵」「お招き」「お褒め」などが挙げられます。「与る」は常用外漢字になります。
お招きにあずかるは与るが正しい
「お招きにあずかる」は目上の方から好意の表れとして、招いてもらったということなので、ここでは「与る」を使います。
「預かる」の例文
例文1:いつも保育所に子どもを預かってもらってから仕事に行く。
「子どもをあずかる」は子どもの管理をお願いするということなので、ここでは「預かる」を使います。
例文2:月曜から水曜まで、家政婦として主のいない家を預かっている。
「家をあずかる」は家を管理するということなので、ここでは「預かる」を使います。
「与る」の例文
例文1:政府が定額給付金を配ったので少なからず国民みんなは恩恵に与った。
「恩恵にあずかった」は政府から定額給付金を受けたことの好意の表れとして恩恵をあずかったので、ここでは「与る」を使います。
例文2:与り知らないことなので、この件については答えられません。
「あずかり知らない」というのは関係がないということなので、ここでは「与る」を使います。
論文・小論文で「預かる」と「与る」を使い分ける視点
「預かる」は保管、管理、保留、「与る」は関与、受けるという意味があります。論文・小論文を書く時には、正しく使えるようにしましょう。もし難しいようでしたら、「与る」は常用外漢字なのでひらがなで書くようにしましょう。