「船に刻みて剣を求む」の意味 「舟に刻して剣を求む」「剣を落として舟を刻む」などの例文

「船に刻みて剣を求む」は日常ではあまり使われていない故事成語です。具体的にどのように使えばいいでしょう。ここでは「船に刻みて剣を求む」の意味や「舟に刻して剣を求む」「剣を落として舟を刻む」などバリエーションでの例文を紹介していきます。

「船に刻みて剣を求む」の読み方

読み方:ふねをきざみてけんをもとむ

「舟に刻して剣を求む」の読み方

読み方:ふねにこくしてつるぎをもとむ

「剣を落として舟を刻む」の読み方

読み方:つるぎをおとしてふねにきざむ
「船に刻みて剣を求む」の「船」は「せん」ではなく「ふね」と読みます。また漢字は「船」でも「舟」でも構いませんが、「船」の方が一般的です。「刻みて」は「せんみて」ではなく「きざみて」と読みます。また、「刻して」は「こくして」と読むこともあります。「剣」は「けん」でも「つるぎ」でも構いませんが、「剣」がより一般的です。また、略して「刻舟」とも言います。類語は「柳の下にいつもどじょうはいない」などがあります。

「船に刻みて剣を求む」「舟に刻して剣を求む」「剣を落として舟を刻む」の意味

意味:刻々と時勢が移っていることも知らず、いたずらに古いしきたりを守ることのたとえ
「船に刻みて剣を求む」は秦時代の百科事典である『呂氏春秋 ―慎大覧・察今』の話に由来すると言われています。ここでは、楚の国の人が船から剣を落とし、慌ててその場所に印をつけて船が岸についてから船底を探しましたが、進みゆく船に目印を付けたところで見つかるわけがないので、古いしきたりや習わしにとらわれて国を治めようとしても難しいのは当たり前だと、古代の政治を理想とした儒家を批判したと言われています。そこから、状況の変化に応じることができない愚かさのたとえを表すようになったと言います。

「船に刻みて剣を求む」の例文

例文1:社会が変化しているのに、法律だけずっと同じなんて船に刻みて剣を求むようなものだ。
例文2:いつまでも判子を押さないと仕事が片付かないなんてまさに船に刻みて剣を求むと言えるだろう。

「舟に刻して剣を求む」の例文

例文1:我が社は時代の変化を無視して、ずっと船に刻して剣を求むような仕事をしている。
例文2:インターネット時代に対面にこだわるなんて舟に刻して剣を求むようなものだ。

「剣を落として舟を刻む」の例文

例文1:勤務するためには住む場所を変えないとならないなんてネット時代に剣を落として舟を刻む行為だね。
例文2:剣を落として舟を刻むなんてことにならないよう、常に我が社は革新をはかりたい。

「船に刻みて剣を求む」をうまく用いる

「船に刻みて剣を求む」は日常であまり使われない故事成語です。論文・小論文でも正しく理解してきちんと使えるようにしておきましょう。