何かが生じるときに使う「わく」は「沸く」「湧く」「涌く」があります。それぞれの語源は同じなので、意味はよく似ていますが、細かい点で違いはあります。論文・小論文ではそれぞれの違いに注目して文中で使えるようにしていきましょう。ここでは「沸く」「湧く」「涌く」のそれぞれの意味の違いや例文について解説していきます。
「沸く」「湧く」「涌く」の違い
沸く(わく)
意味:沸騰する。
「沸く」は、水が熱せられて沸騰する、適度な温度になるという意味ですが、転じて感情が高ぶり熱狂するときも使います。
湧く(わく)
意味:(底から)生じる。
「湧く」は、何もないところに何かが生じる時に使います。主に水などが地中から出てくる時によく使われます。また、転じて、感情や思考などが自然と生じる時にも使います。「沸く」が熱狂的なのに対して、「湧く」は自然に滲み出るようなニュアンスです。
涌く(わく)
意味:(底から)生じる。
「涌く」は「湧く」と同じ意味です。常用外漢字にあたるので、「湧く」を使うこともあります。
アイデアがわくは湧くが正しい
「アイデアがわく」はアイデアが自然と生じることなので、ここでは「湧く」が正解です。
「沸く」の例文
例文1:お風呂が沸いたので、先にお入りください。
「お風呂がわく」はお風呂に適度な温度になるということなので、ここでは「沸く」を使います。
例文2:白熱した試合にみんな思わず大声援になり会場中が沸いた。
「会場中がわく」は感情が高ぶって会場中が熱狂的になることなので、ここでは「沸く」を使います。
「湧く」の例文
例文1:この土地は昔温泉が湧いたので、温泉地としてにぎわっていた。
「温泉がわく」は何もないところに温泉が生じることなので、ここでは「湧く」を使います。
例文2:バレエの発表会を見ていたら、素晴らしい演技に観客席から自然と拍手が湧いた。
「拍手がわく」は自然と感情が生じた結果、拍手が起こったことなので、ここでは「湧く」を使います。
「涌く」の例文
例文1:ドラマを見ていると、気づかないうちに涙が涌いて(湧いて)出ていた。
「涙がわいて出た」は感情が自然と生じた結果涙が出たことなので、ここでは「涌く(湧く)」を使います。
例文2:アスリートが頑張っている姿をみていたら、希望が涌いて(湧いて)きた。
「希望がわいてきた」は感情が自然と生じた結果希望が出たことなので、ここでは「涌く(湧く)」を使います。
論文・小論文で「沸く」「湧く」「涌く」を使い分ける視点
何かが生じる時に使う「わく」という言葉ですが、「沸く」「湧く」「涌く」があります。それぞれの意味は「沸く」が沸騰・熱狂、「湧く」が自然と生じる、「涌く」が常用外漢字となります。論文・小論文では思わず気持ちが高ぶってなのか、自然と生じるのかという点で違いを区別しておきましょう。