「さいけん」には「債券」「債権」の2種類がありますが、それぞれはどういう意味になるのでしょう?論文・小論文では意味の理解がなければ文中で正しく使うことができないため、それぞれの意味についてきちんと把握しておくようにしましょう。ここでは、「債券」「債権」のそれぞれの意味の違いや例文について解説していきます。
「債券」と「債権」の違い
債券(さいけん)
意味:有価証券のひとつ。
「債券」は、国や企業などの発行体が、投資家から資金を借り入れるために発行する有価証券を言います。債券には満期が決められていて、満期となる償還日に額面金額が投資家に払い戻されます。「債権」という大きな権利の枠組みの中に「債券」があります。
債権(さいけん)
意味:財産権のひとつで、債務を弁済してもらう権利のこと。
「債権」は、法律上ある権利を有する者(債権者)が特定の相手方(債務者)に対して、金銭の支払いや労務の提供など、一定の行為を請求できるという権利のことを言います。債権に対して、支払いや労務の提供などの義務を負うことを「債務」と言います。「債権」と「債務」は表裏一体の関係にあります。
不良さいけんは債権が正しい
「不良さいけん」は銀行などの金融機関が行った融資について、経営悪化などを理由に回収できなくなった、あるいは回収の可能性が困難になったなど約定どおりの元本や利息の支払いが受けられなくなることで、その経済価値が低下した貸出債権のことを言います。そのため、ここでは債務を弁済してもらうことができなくなったというところから、「債権」を使います。
「債券」の例文
例文1:債券の利回りを気にして投資している投資家もいる。
「さいけん」は有価証券のひとつのことなので、ここでは「債券」を使います。
例文2:国債は国が発行している債券です。
「国が発行しているさいけん」は国が発行している有価証券のひとつのことなので、ここでは「債券」を使います。
「債権」の例文
例文1:企業が経営破綻したとき、金融機関などが債権を放棄することで、企業の倒産を回避することがあります。
「さいけんを放棄する」は債務を弁済してもらう権利を放棄するということなので、ここでは「債権」を使います。
例文2:債権を持つ権利者のことを、債権者と呼びます。
「さいけん者」は債務を弁済してもらう権利を持つ人のことなので、ここでは「債権」を使います。
論文・小論文で「債券」と「債権」を使い分ける視点
「さいけん」は「債券」「債権」がありますが、「債券」は有価証券そのもの、「債権」は債務弁済の権利と指すものは違います。論文・小論文では正しい言葉を使って的確に伝えたい内容を伝えられるようにしましょう。