「すすめる」は似たような意味のため、区別しにくい漢字でもあります。論文・小論文では頻出するためしっかり使い分けできるようにしておきましょう。ここでは、「進める」「薦める」「勧める」のそれぞれの意味の違いや例文について解説していきます。
「進める」「薦める」「勧める」の違い
進める(すすめる)
意味:前へ動かすこと。
「進める」は前へ移動する「前進」を意味しますが、人の行動や物などにも幅広く使われ、「物事を進める」「合理化を進める」「駒を進める」など、「進捗」「進行」「進歩」などの意味合いもあります。また、「食欲が進む」「会話が進む」など、目に見えないものが進んでいる状況でも使用できます。
薦める(すすめる)
意味:人や物など自分が良いと判断した上でその人や物の採用を相手に促すこと。
「薦める」は「推薦」を意味します。「勧める」とよく似ていますが、「薦める」は人や物そのものを推すときに使います。
勧める(すすめる)
意味:人がその事を行うように誘いかけること。
「勧める」は人がその事を行うように「勧誘」することですが、「お菓子を勧める」など相手に物などを差し出して、飲食したりや利用したりすることを促す意味もあります。「薦める」とよく似ていますが、「勧める」は行動や行為を促すとき、アドバイスをするときに使います。
酒をすすめるは「勧める」が正しい
「酒をすすめる」は相手に物などを差し出して、飲食したりや利用したりすることを促すことなので「勧める」を使います。
「進める」の例文
例文1:問題なくできているので、このまま作業を進めてください。
「作業をすすめる」は作業を前進させることなので「進める」を使います。
例文2:キャッシュレス化が進められてから、お財布を持たない人が増えたという。
「キャッシュレス化をすすめる」はキャッシュレスという新しい手法の波及を進めるということなので「進める」を使います。
「薦める」の例文
例文1:お見合い相手として隣町の令嬢を薦められた。
ここでは隣町の令嬢という「人物」をお見合い相手として促しているので「薦める」を使います。
例文2:学校の先生に薦められた本を読んでみた。
ここでは特定の物である本を学校の先生から読むように促されたので「薦める」を使います。
「勧める」の例文
例文1:酒を勧められたが車で来ていたため断った。
「お酒をすすめられた」は飲食という「行動」を促されたことになるので「勧める」を使います。
例文2:医者から運動を勧められていたが、なかなか時間がとれず実行にうつせていない。
「運動をすすめられていた」は医者から運動する行為を行うように誘いかけることなので「勧める」を使います。
論文・小論文で「進める」「薦める」「勧める」を使い分ける視点
「進める」は物事を前に進める(前進)、「薦める」は人や物の採用を促す、「勧める」は行為を促すと覚えておくといいでしょう。「すすめる」は論文・小論文で頻出しますが、使い間違えると意味が変わってしまう漢字でもありますので、使い方に注意して区別して使えるようにしましょう。