「あらわす」と読む漢字は種類も多く、その分区別が難しくもあります。ですが、意味に照らし合わせて考えるようにすると、使い分けられるようになります。ここでは、「表す(表わす)」「現す(現わす)」「顕す(顕わす)」「著す(著わす)」のそれぞれの意味の違いや例文について解説していきます。
「表す(表わす)」「現す(現わす)」「顕す(顕わす)」「著す(著わす)」の違い
姿をあらわすは「現す」が正しい
「姿をあらわす」は隠れていたものが見えるようになること、出現したことから「現す」が正解です。
「表す(表わす)」の例文
この「あらわす」は「表現」を意味するので、「表す」となります。
この「あらわす」は「表現」を意味するので、「表す」となります。「音楽で悲しみを表す」なども同じです。
「現す(現わす)」の例文
身を潜めていた怪獣が「出現」することなので、「現す」を使います。「本性を現す」も同じように、わからなかった性格がわかるようになるので「現す」になります。
「頭角を現す」とは才能・技量など周囲の人よりも優れるようになることですが、もともと才能はあったけれど、知られていないことがわかるようになったという意味で「発揮する」というニュアンスでも使われます。
「顕す(顕わす)」の例文
「名をあらわす」というところから、広く世間に善行を広めることになるので「顕す」を使います。「善行を顕す」などとも使います。
「功績をあらわす」というところから「顕す」を使います。
「著す(著わす)」の例文
書物を出版するという意味なので、この場合は「著す」を使います。
出版した書物という意味なので、この場合は「著す」を使います。
論文・小論文で「表す(表わす)」「現す(現わす)」「顕す(顕わす)」「著す(著わす)」を使い分ける視点
「表す(表わす)」「現す(現わす)」「顕す(顕わす)」「著す(著わす)」は論文・小論文でもよく使われる漢字です。送り仮名は「表す」「現す」「顕す」「著す」と書く場合と、「表わす」「現わす」「顕わす」「著わす」と書く場合がありますが、どちらで書いても正解です。ただ、「表す」「現す」「顕す」「著す」の方が正式とされているため、論文・小論文ではこちらに統一して使うと決めておくのもいいでしょう。また、「表す」は「敬意を表す」と書くと、「あらわす」「ひょうす」という2種類の読み方が当てはまります。「ひょうす」という読み方の方が「あらわす」よりも改まった表現になるため、時と場合によっては「ひょうす」という読み方をするほうがふさわしいとこともあります。