タワーマンションをつくる 「作る」「造る」「創る」のどれが正しい?

何かを生み出すという意味の「つくる」は使い分けの難しい漢字でもあります。ですが、それぞれ特徴があるため、そこに注目して使い分けられるようにしましょう。ここでは「作る」「造る」「創る」のそれぞれの意味の違いや例文について解説していきます。

「作る」「造る」「創る」の違い

作る(つくる)
意味:比較的規模の小さい形のあるもの、抽象的なものをシンプルな方法でこしらえること
「手作り」というように手や身近なものを使って、何かの素材を用いてある物を組み上げたり、今までにないものを新しく生み出したりすることをいいます。「料理を作る」など形のあるものだけでなく、「曲を作る」「記録を作る」「組織を作る」など抽象的な物事に対しても使えます。
造る(つくる)
意味:大がかりな方法でこしらえること。
「造る」は、造船や造園など大がかりな、あるいは組織的な方法によって形あるものをこしらえるという意味です。また、「醸造」という熟語から酒を仕込むという意味もあります。「作る」は形がないものにも使えますが、「造る」は基本的には形あるものだけに使えます。
創る(つくる)
意味:新しいものを生み出すこと。
「創作」という熟語のように、新しいものや独創性のあるものを生み出すということを強調するときに使います。常用外漢字のため、「作る」に代用することもできます。

タワーマンションをつくるは造るが正しい

タワーマンションのような重機をたくさん用いて大掛かりにこしらえるものは「造る」を使います。

「作る」の例文

例文1:定番料理を作って客に振る舞った。

「定番料理をつくる」はいつもの料理をつくることなので「作る」を使います。これが定番のものではなく、これまでになかった創作料理の場合は「創る」を使ってもかまいません。

例文2:相続に関する書類を作り、公的機関に届け出た。

「書類をつくる」は手で作ることなので「作る」を使います。このような公的書類なども通常は「作る」を使います。

例文3:参加者が話しやすい空気を作るのは司会の役割だ。

「空気をつくる」は形のない抽象的なことなので「作る」を使います。

「造る」の例文

例文1:このエリアは将来大きな公園が造られて、さらに住みやすい街になるでしょう。

「公園がつくられる」は手作りでできるような小さな規模でなく、重機などが入って作る大規模なものになるため、「造る」を使います。

例文2:このあたりは昔から酒造りが盛んで色々な地酒が飲める。

「酒づくり」は醸造を意味するので「造る」を使います。この場合の酒造りは醸造所でこしらえたお酒を意味しますが、家庭で梅酒などをこしらえる場合は手作りでできる範疇なので「作る」を使います。

「創る」の例文

例文1:新しい雑誌を創るため、みんなが知恵を出しあった。

「新しい雑誌をつくる」は新しい雑誌を「創刊」するということなので「創る」を使います。その後、月ごとにルーティンのように雑誌を作る場合は「作る」を使うこともできます。

例文2:神は宇宙を創った。

「宇宙をつくる」は新しいものをこしらえるという「創造」という意味なので「創る」を使います。

論文・小論文で「作る」「造る」「創る」を使い分ける視点

「作る」は小さいもの、「造る」は大きなものという違いはありますが、どこまでが小さいもので、どこまでが大きいものなのかという基準は人によってもまちまちです。そのため、あくまで目安ですべてに当てはまるとは限りません。また、「創る」は新しいものをこしらえるときに使いますが、こちらもどこまでが新しいといえるのかというはっきりとした目安はありません。そこで、論文・小論文では、自分の手でこしらえることができるものは「作る」、技術的、力量的に自分だけではこしらえることができないものは「造る」を使うようにしましょう。また、抽象的なものは「作る」を使うようにしましょう。「創る」は常用外漢字のため、「作る」を使ってもいいですが、使う時は「創造」という意味を持たせたいときに限って使うといいでしょう。