効果をうたう 「歌う」「唄う」「謳う」「詠う」正しい漢字はどれ?

「うたう」は「歌う」「唄う」「謳う」「詠う」などたくさんの漢字がありますが、それぞれを論文や小論文で上手に使おうと思えば、それぞれの意味を理解しておかなくてはなりません。ここでは「歌う」「唄う」「謳う」「詠う」のそれぞれの意味の違いや例文について解説していきます。

「歌う」「唄う」「謳う」「詠う」の違い

歌う(うたう)
意味:メロディーやリズムに合わせて声を出すこと。
「歌う」は音楽的な高低、調子などをつけて声を出すことで、広く色んな場面で使います。英語のシング(sing)にあたります。そのほかに、詩や和歌などを作ったり、詩歌に節をつけて朗読したりするとき、鳥がさえずるときにも使います。
唄う(うたう)
意味:日本の伝統的な音楽(邦楽)をうたうこと。
「唄う」は「歌う」の意味は基本的に同じです。ですが、「唄う」を使うときは、主に「長唄」や「小唄」など日本の伝統的な音楽をうたうときに使います。常用外漢字なので、変わりにひらがなの「うたう」や「歌う」の漢字を使うこともあります。
謳う(うたう)
意味:たたえ賛美するための飾り立てる言葉のこと。
「謳う」は「謳歌」のようにほめたたえたり、強くアピールしたりするときに使います。常用外漢字になるため、ひらがなの「うたう」を変わりに使うこともあります。
詠う(うたう)
意味:詩を書いたり詩的な言葉を述べたりすること。
「詠う」は「吟詠」のように、詩や歌を作ったり、感動を込めて述べたりすることで、そこにはメロディーやリズムは伴いません。変わりにひらがなの「うたう」や「歌う」の漢字を使うこともあります。

効果をうたうは謳うが正しい

「効果をうたう」は、強く効果をアピールするという意味なので、ここでは「謳う」を使います。

「歌う」の例文

例文1:中学の校歌はふるさとの心を歌詞に歌ったものだった。

「歌詞にうたう」は歌詞を音楽に合わせてうたうものというところから、ここでは「歌う」を使います。

例文2:外国で訪れた草原はあちこちに花が咲き、鳥が歌う、まさに桃源郷のようだった。

「鳥がうたう」は鳥がさえずるという意味なので、ここでは「歌う」を使います。鳥が音楽に合わせてうたうわけではないので、「詠う」と考えがちですが、さえずるという意味では「歌う」を使うのが正解です。

「唄う」の例文

例文1:日本でも小唄を唄うのを聞いたことがある若者は少ないと思う。

「小唄を唄う」は小唄という日本の伝統的な邦楽をうたうことなので、ここでは「唄う」を使います。

例文2:観光地に行くと渡し舟があり船頭の舟唄が唄う。

「舟唄をうたう」は、舟唄という日本古来の伝統的な歌をうたうというところから、ここでは「唄う」を使います。

「謳う」の例文

例文1:太平の世を謳う。

「太平の世をうたう」は恵まれた幸せをみんなで大いに楽しみ喜び合う、褒めたたえることをいうので、ここでは「謳う」を使います。

例文2:視力回復に効くと謳った商品だが、目はよくならなかった。

「うたった商品」は、強くアピールした商品ということなので、ここでは「謳う」を使います。

「詠う」の例文

例文1:彼は結婚式で結婚する妻に向けて愛の詩を詠った。

「愛の詩をうたった」は、愛の詩を特にメロディーをつけず、朗読したという意味なので、ここでは「詠う」を使います。

例文2:タワーマンションの広告は、まるで壮大なロマンを詠った叙事詩のようだ。

「ロマンをうたった叙事詩」は特にメロディーをつけず、ロマンを広告のキャッチフレーズにしたという叙述詩という意味なので、ここでは「詠う」を使います。

論文・小論文で「歌う」「唄う」「謳う」「詠う」を使い分ける視点

「うたう」はたくさんの漢字がありますが、「歌う」「唄う」「謳う」「詠う」が音楽に関係することで、「唄う」は邦楽をうたうこと、「詠う」は和歌や詩を朗読すること、「謳う」はアピールすること、「歌う」はメロディーにのせて声を出すこと全般に使われます。論文・小論文では、区別に悩んだら「歌う」もしくはひらがな表記の「うたう」を使うようにしましょう。

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