「しく」という漢字には「敷く」「布く」の2つがありますが、それぞれ意味は違います。論文・小論文で書くときにはそれぞれの意味に従って正しく書けるようにしましょう。ここでは、「敷く」「布く」のそれぞれの意味の違いや例文について解説していきます。
「敷く」と「布く」の違い
敷く(しく)
意味:一面に広げること。
「敷く」は広い範囲に設置したり、行き渡らせたりするという意味を表します。また、一面に広げる・並べるというときや、何かの下に物を広げるというときにも使います。広く一般的に使われる言葉です。
布く(しく)
意味:広く行き渡らせること。
「布く」は広く設置する・行き渡らせるという意味のみで使えます。常用外漢字なので、「敷く」を使うこともあります。
布団をしくは敷くが正しい
「布団をしく」は布団を一面に広げることなので、ここは「敷く」が正解です。
「敷く」の例文
例文1:あそこの家は奥さんが強いので、いつも亭主を尻に敷いている。
「尻にしく」は妻が自分の意に夫を従わせて、思うままに振る舞うことをいいます。まるで奥さんの尻の下に夫を広げるような状態をいうので、ここでは「敷く」を使います。
例文2:ただ敷かれたレールの上を走っていても、君の幸せとは違っているかもしれないよ。
「しかれたレール」は一面に並べたレールのことを意味するので、ここでは「敷く」を使います。
「布く」の例文
例文1:日本は全国にくまなく鉄道を布いているので、鉄道を利用すればどこにでもいける。
「鉄道をしく」は鉄道広く行き渡らせることを意味するので、ここでは「布く」を使います。
例文2:大規模地震が起こったので、日本全国に厳戒態勢を布いた。
「厳戒態勢をしく」は日本全国に厳戒態勢を広く行き渡らせることを意味するので、ここでは「布く」を使います。
論文・小論文で「敷く」と「布く」を使い分ける視点
同じ音の「しく」ですが、「布く」は広く設置する・行き渡らせること、「敷く」はそれ以外と覚えておきましょう。論文・小論文でもし迷うようなことがあれば、「布く」は「敷く」と書くこともできるので、「敷く」だけを使うようにしてもいいでしょう。