「あう」という漢字はいくつもあるのでどれを使ったらいいのか迷いやすい言葉です。論文・小論文で、どの場合にどの漢字を使ったらいいのか悩むこともあるかと思いますが、それぞれの使い方を踏まえて、使い分けられるようにしましょう。ここでは、「合う」「会う」「逢う」「遭う」のそれぞれの意味の違いや例文について解説していきます。
「合う」「会う」「逢う」「遭う」「遇う」の違い
人とあうは「会う」が正しい
「人とあう」の「あう」は人と実際にある場所で対面するので「人と会う」が正解です。この時の人は特別な人ではないため、「逢う」は使いません。マスク会食という言葉もはやりましたよね。会食とは、人が集まって食事や会話を通じて親睦を深めたり、関係を築いたりすることなので、会食は、人と人が実際に会うことを意味する「会」を使うのですね。
「合う」の例文
2つのものが1つにぴったり合う、合流するということです。人と人が会うから、「会う」と考えてしまうかもしれませんが、あうのは「道」で「人」ではないので、ここでは「合う」が正解です。
答えという基準に照らし合わせて、適合するかどうかを検討するので答え合わせは「合わせ」になります。照合や合格などもある基準に照らし合わせてそれにフィットするのかどうかを見ていますよね。同じように、「この服はあなたに似合う」などの「似合う」も、当該者を基準に服がフィットしているところから「合う」を使います。「2人はまったく息が合わない」なども、互いに照らし合わせてぴったり適合しない、片方にずれがあるというところから、「合う」を使います。
「割に合わない」とは、比べる2つのものがぴったり適合しない、見合わないという意味です。この場合、割に合わないのは、商売とそれに見合う金額、もしくは、それに見合う労力などが考えられます。例えば、商品を100円で仕入れているのに、100円で売れなければ、商売にならない、調和がとれていないということになります。
「会う」の例文
実際に人とある場所に出向いて対面するので、ここでは「会う」を使います。顔を見て話しをするときは「会う」ですね。
実際に人とある場所に出向いて対面するという点で、こちらも「会う」を使います。こちらも顔を見て話しをするので「会う」ですね。
「逢う」の例文
「逢う」は特別な人と会うときに使うため、この時の「彼」は恋人や配偶者などを暗示していると考えられます。逢瀬というところからも、男女の関係を指す場合が多く、「私」は女性ではないかと考えられます。
この「出逢い」も「出会い」ではなく、「出逢い」を使っているところから、運命の出逢いは将来の配偶者、恋人との出逢いを暗示しています。「逢」は偶然という意味もあるため、運命の人に偶然引き合わせてもらえるようにというニュアンスがあります。
特別な関係は、恋人同士だけではなく敵や仇にも使います。敵との出逢いもまた何か縁があることというところから逢うを使っているんですね。ちなみに、百年目というのは寿命の限界を表しています。だから、「ここで逢ったが百年目」というのは、ここで運命的に出逢ったからにはこの日に寿命は限界がくる(必ず殺す)という意味になります。
「遭う」の例文
交通事故はよくない物事なので、「遭う」と使います。また、「夕立に遭う」「盗難に遭う」など、偶然悪いことに出くわしたときには、「遭う」を使います。
反対されるのは自分の意に反しているところから、自分にとってよくない物事なので「遭う」を使います。また、「ひどい目に遭う」も「遭う」を使います。
「遇う」の例文
偶然幸運に巡り合えたということで「遇う」を使います。幸運は本人にとって良い事なので、「遭う」ではなく「遇う」になります。
恋人に偶然出会えた、そのことは本人にとってよかった、うれしかったというニュアンスを表すので「遇う」を使います。
「時に遇って」とは会社が栄えるのにちょうどよい時期に合うという意味になります。そのため、「遇う」を使います。
論文・小論文を書くにあたって「合う」「会う」「逢う」「遭う」「遇う」を使い分けるポイント
論文・小論文は、常用漢字を使って書くのが一般的なため、「逢う」「遇う」は「会う」を使って書くようにしましょう。ただ、小論文の中には、課題文のついているものもあり、その中には、「逢う」や「遇う」という漢字が使われていることも。「彼に会った」「彼に逢った」「彼に遭った」「彼に遇った」では話者の心情が違ってくるのでその点は注意して読み解きましょう。「会う」は人と対面して会うとき、「遭う」は本人にとって悪い出来事に遭うとき、物事が1つになるとき、適合するときは「合う」と覚えておくといいでしょう。